2009年01月08日

補助金審査の自己矛盾

 新年早々の窓口相談で、厳しい指摘を受けました。その方は既に何度も相談に来られていた社長さんですが、なかなか新規性のある取り組みをされています。
 昨年暮れ近くに、ある公的機関から「○○の補助金に該当するので申請しないか」と言われ応募したそうです。
 その後、審査の段階で面接を受けた際に、「この事業のニーズがどの程度あるかマーケット調査はしたか?」と問われたとのこと。補助金の多くはそうなのですが、「新規性はあるか?」「ニーズは高いか?」「本当に売れるのか?」といったことが、審査で問われます。
 審査要件はある程度、補助金の募集要項で示されていますので、社長は信頼のおける周囲の人たちにヒアリング調査をし、その結果を応募用紙に記載して提出していたようです。
 ところが、審査する側は、「それでは客観性が十分とは言えない」「どうしてニーズがある、あるいは売れるはずと言えるのか?」と問い詰めたとのこと。

 そこで社長もカチンときました。と、いうのは、本来、新規性が求められ、場合によっては補助金を活用して開発できた成果に対して特許申請しようという目論見もある案件なのに、「客観性を立証できるほどの不特定多数に詳細を説明して意見をもらうなどの行為をしてしまえば、既に既知の事実とされてしまう。それでは特許として認められない可能性が出てくるではないか。まったく矛盾した話だ」というのが社長の意見でした。そして「そんな都合のよい調査の仕方というのはどのようにやればいいのか教えて欲しいものだ!」と憤慨されたのです。
 誤解を招くといけないので補足すると、ここで“特許”と書きましたが、今回の案件は正確には“意匠登録”に該当するものでした。意匠ですから、具体的に見てもらった途端に既知となるわけで、たちまち新規性が脅かされる案件なのです。

 言われてみれば一理ある話です。そこで私は、ある弁理士さんにその社長を紹介し、特許申請とのからみでそのような調査が影響を与えないものなのかを相談してもらいました。 
 弁理士の答えは、「影響ありそうですね。」とのこと。そしてそのような場合は、救済規定があり、例えば展示会等、実施されたことが証明できるような場において調査を実施したことを付した上で6ヶ月以内に特許申請すれば、“新規性は損なわれなかったものとみなす”というような規定があるとのこと。
 しかし、それはあくまでも例外規定であり、特許の審査官の判断ひとつで却下される可能性は高いというのです。そうなると、社長が心配された通り、下手に調査はできない→調査の裏づけがなければ、補助金の審査は不合格⇔補助金の審査に合格するような調査をした案件は特許はとれない・・・となり、補助金が目指している、「特許をとれるような新規性の高い研究開発などを支援する」という目的は達成できない・・・という話に帰結する可能性が高くなってしまうのです。なんとも矛盾する話と言えそうです。


posted by のほほん at 23:35| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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