2008年10月01日

素人と玄人

 先日、ある障害者の就労支援施設を訪問しました。そこでは一般企業に就労できない人達にさまざまな仕事をしてもらい、多少なりとも賃金を支払うことで、職業訓練的な意味合いと働き甲斐の提供といった福祉目的を満たす取り組みがなされております。
 以前はこうした施設に通ってくる障害者は無料でこのような機会が得られていたのですが、障害者自立支援法が2年前に施行されてからは、施設の利用料として障害者に1割の負担金を求めることとされました。
このため、多少の賃金を受け取っても、その負担金を差し引くとほとんど手取りがない場合もあり、施設の利用度が低下する状況も生じたりしているようです。
 そこで国は、働いた障害者に少しでも多くの工賃を支払えるようにするために、施設に対して受注増大のノウハウを学ばせたり、生産効率を高める方法などをコンサルタントに指導させる事業を行なっております。

 その一環として私も先日お手伝いしてきたのですが、そこで面白い現象に出会いました。
 その施設ではいくつかの作業に取り組んでいましたが、その中に花の栽培とパン作りがありました。どちらも数年前から取り組んでおられましたが、その結果に大きな違いが認められました。
 花の栽培は、色々な試みを続けているものの、なかなか成果が出ておりません。聞くところによると、昔、農家として花を栽培していた人にも入社してもらってやっているとのこと。一方パン製造については、もともと素人だった女性を、同じくパンを作っていたほかの障害者施設に修行に行かせ、今日に至っておりました。

 管理者の方から事前に私に依頼されたのですが、「花栽培の責任者に、農協や農業試験場などの専門家から技術指導を受けるようにアドバイスしてほしい」というのです。
 あとで分かったことですが、実は花栽培の責任者というのが、元農家をされていた方で、農業に関してはプライドを持っており、他人の忠告を受け入れないのだそうです。そこで、私のほうからそれとなく忠告してもらい、より専門的な技術指導を受ける気にさせたいというのが狙いだったわけです。

 一方パン製造の責任者は、製造と販売のデータを事細かに記録しておりました。アイテムごとに原価も売価も毎日の販売数量や金額もわかるのです。これには感心しました。別にposを導入しているわけではありません。地方で長年営業されている小売店などに行っても、案外こうしたデータはとられていなかったりします。
 ここのパン責任者は、素人で修行に行った先で教えられたとおり、当初から今日まできちんとデータを取っていたのです。しかし、残念なことに、そのデータを分析し活用するところまでは教わっていなかったようです。そこで、私がそれを教えることとなりました。

 ところで、この障害者施設の花とパンの責任者の対照的な状況に出会い、あることを思い出しました。それは地元経済誌に載ったタクシー会社の話です。
 徹底した顧客サービスで有名な京都のエムケイタクシーが札幌にも進出する予定となっております。この会社、ドライバーの多くは経験者ではない新人を雇い、サービス業の基本を叩き込んで育てるのだとか。車は黒塗りで自動ドアではなく、ドライバーが自らドアを開閉して乗客にサービスするとのことです。
 タクシードライバーの態度が悪いという話題はたまに聞く話ですが、エムケイタクシーは敢えて即戦力とはならない素人を採用し、しっかり育てることによって今日の成果を挙げるまでになったようです。
 素人はいずれ玄人と呼ばれるようになるのでしょうが、その入口からの教育次第で、結果に大きな差が出ることはどんな仕事でも共通しているものだと、改めて考えさせられた出来事でした。


posted by のほほん at 22:44| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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