2008年04月03日

農商工連携

 近頃、窓口相談に来られる案件には一定の傾向があるように感じます。それは世相を反映したものと言えばそれまでなのですが、やはり相談内容として「介護事業を展開したい」とか「食の安全を守って行きたい」という話題が出てきます。
 そして、結構若い人からもそのような意向が表明され、利益も必要だけど、それよりも「世の中の役に立ちたい」という想いが込められているのです。
 今日の相談者もそうでした。たぶんまだ30歳代の女性ですが、既に飲食店を2店舗経営されていました。それだけでも「すごいな〜」と思うのですが、そのあとの話に驚かされました。

 彼女曰く、「流通システムの改革をしたい」とのこと。「今、食の安全が取り沙汰されている。日本の食料自給率は今やカロリーベースで40%を切り、先進国と言われている中では最も低い。しかし、北海道だけでみると農業が頑張っており自給率は200%くらいと言われている。ただ、これも危ないのではないか?
 農家のほとんどは農協を通じて出荷し、農協は大手食品メーカーなどにまとまったロットで販売している。しかし、大手食品メーカーや外食産業は、状況変化にあわせ仕入先を変更することに躊躇はしない。買えるだけ安い国から仕入れることも厭わない。
そうこうしているうちに国内の農家はほとんどダメになる。北海道も例外ではない。今、なんとかしなければ間に合わなくなる。日本人は本当に飢えることになるのではないか?」
 …母親ならではのリアルな危機感なのかもしれません。「だから私は農家の人たちと連携して、トレーサビリティを確保し、食の安全を守りながら、作ってもらったものが多少高くとも、しっかりと消費者に買ってもらえる仕組みづくりをしたいのです」。思わず、涙が出そうな話でした。「人を殺したかった…。誰でも良かった。」などというとんでもない事件が起こる一方で、「まだまだ捨てたものじゃあない」と勇気付けられる話です。

 とは言え、トレーサビリティ(食料品の履歴を遡って確認可能にしようというシステム)をほんとうにきちんとやろうとすると、想像以上の費用と手間がかかりそうです。何よりも農家の方々に、今の何倍ものご協力を頂かなければならないでしょう。
 誰が栽培したのか。使用した種は遺伝子組み換えではないのか。植えつけた田畑の土壌はどのように管理してきたのか。どのような肥料をどの程度使用し、農薬はいつどのくらい使用したのか。収穫の方法は。時期は。そのときの天候は。輸送の状態は。保管の状態は。精米・製粉等一次加工はどこでどのように行われたか。
…等々、逐一、追跡確認可能な状態に履歴管理がなされる必要があります。
 そしてその情報は、基本的に知りたい人は誰でも確認できる状態になっていなければなりません。今でさえ農産物の生産コストが高いと言われているのに、そんな面倒なことができるだろうか…と考えても不思議はないのです。

 今、国では、「農商工連携」なる施策を進めようとしております。これは、地域に根ざした農林水産業や商工業等の産業間の連携を促進することを通じて、地域経済の活性化を図ることを目的とした施策等について、農林水産省と経済産業省が連携して取り組もうというものです。
 ともすれば農産品・水産品に付加価値をつけた新商品を開発することに目が行きがちですが、今日の相談者のような取組みについても、農商工連携としての支援策の適用がなされることを願いたいものです。


posted by のほほん at 22:29| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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