番組の中で放映された、岡島投手をスカウトしたスカウトマンのインタビュー録画は興味深いものでした。スカウトする人材に眼をつけるポイントの一つは「“大リーグで通用する何か”を備えているかどうか」だというのです。
これに対して、テレビ番組の解説者は、「日本の場合、長所も見るが、“走”“攻”“守”のバランスなどを重視する傾向が強い」というようなことを述べていました。
だいぶ以前に、野球の好きな知人が、「高校野球では秀でたものが一つあればある程度通用するが、プロ野球ではちょっとしたミスが命取りになるので、徹底して欠点克服のトレーニングをする」と言っていたことを思い起こしました。日本のプロ野球は今でもそうなのかもしれません。
そうだとすれば、日米の人材に対する考え方、もしくは人材の育て方に関する特徴が現れているとも言え、面白いですね。
日本ではあまり注目されなかった岡島投手が、大リーグに行った途端に花開き、同窓の(?)松坂投手を差し置いてオールスター戦に選ばれたのですから、わからないものです。
人材やその育て方に関する考え方として、アメリカではスペシャリストを重視し、日本ではゼネラリストを重視するという傾向が強いのではないかと思います。
野球のチームは、ひとつの“組織”とも言えますが、役割分担がかなり明確に決まっております。したがって、組織の一員である選手は、自分の役割をこなす“専門家”であれば良い、もっと言えば、同じ投手であっても、先発か中継ぎか押えか?はたまた左バッター対応中心かといったように細分化されております。
日本の場合も投手に関しては同様ではあるものの、そこに“プラスアルファ”を要求する傾向が強いように思います。
言葉を悪く言えば、アメリカ式は、「選手はあくまでも与えられたポジションにおける歯車のひとつ」と言えなくもありません。
スポーツではなくアメリカの企業においても、職務が明確に区切られており、どの職務をこなすかによって“職務給”が変わってくるケースが多いようです。
これはわかりやすい仕組みではあります。自分の給料をもっと高く欲しければ、自分のスキルアップを図り、より高度な職務に就くことによって基本的にはそれが実現可能な社会と言えましょう。
日本の場合はなかなかそうは行きません。そもそも“職務給”という仕組みは基本的にはないと言ってもよく、企業側も“多能工”を求める傾向が強くあります。これは、その人の働きを“評価”する際の難しさにも繋がっております。
とくに小企業においては、評価制度などといったものは存在せず、“おやじさん(=社長)の一声”で、昇給や賞与・昇進が決まるケースが多々あります。
アメリカの企業で働いたことがないので本当のところはわかりませんが、岡島投手を取り上げたテレビ番組を見てアレコレ考えさせられたことでした。