最初に手を挙げた方の質問は、「減価償却には定額法と定率法があるのはわかった。ところでどちらを選んだほうがトクか?」というものでした。
講義の残り時間があまりなかったせいもあり、時間内での質問はその1件でしたが、休憩に入り、私が退室準備をしているところへ団塊の世代と思しき人が近寄ってきて、質問されました。
「自分は、自己資金は十分あるつもりだ。だから借入なしで、事業を始められると思う。さきほどの話で、定率法のほうが当初どんどん償却が進むということなので、このほうが儲かるように思うがどうか?」と言うのです。
一瞬私は「?」と思いました。「自分がやろうとしているビジネスは、収益性が高い。従って定率法を選んだほうがトクであろう?」という質問なのかと確認したところ、違うようでした。
どうやら、「自分は自己資金が豊富にあるので儲かると思う」と考えているらしいのです。当然、それは違いますよね。
しかしこの方は、「赤字になるとお金もなくなる。借りる必要も出てくる。したがって、お金があるということは、儲かっているということではないか?」と言いたげでした。
なんとなく、同情したい気分にもなりましたが(^_^;)、そうも言っておれません。
よく、「黒字なのに金がないのはなぜ?」という話がありますが、それとは裏がえしのようなお話でした。
それにしても、ほとんどの人が何とか借入して事業を始めたいという状況なのに、自己資金が豊富にあるというのは羨ましい話です。なんとなく怖くて、「いくらあるのですか?」とは聞けませんでした。