2007年06月07日

儲けることはいけないか?

 厚生労働省は、訪問介護最大手のコムスンが虚偽申請をしていたとして、同社に対し指定介護事業所の指定打ち切りを通告しました。これに対してコムスンを傘下に持つグッドウィル・グループは、同じグループ会社で高齢者ホームを手がける日本シルバーサービスに全事業を譲渡すると発表しました。
 マスコミ報道では、「儲け主義がよくなかった」といったような論調がけっこうあったように思います。

 ここで、今は亡きP・F・ドラッカー氏の著書『現代の経営』から少し引用してみたいと思います。<以下、引用>
 「事業とは何か」と問われると、たいていの事業家は「営利を目的とする組織」と答えるし、経営学者たちもほぼこれと同じような意見を持っているようである。しかしこの答えは、大きな間違いであるばかりでなく、まったく見当はずれな答えである。
 同様に「最大利潤の追求をもって事業の目的と考え、この観点に立って事業の活動を説明しようとする経済理論も、明らかに妥当性を欠いている。この理論は、ただ「安く買って、高く売る」ということを複雑なことばで表現したものであって、…(略)…事業がなすべき活動の基礎づけをする力を持っていない。…(略)
 …しかし、このことはけっして、利益ないし収益性が企業にとって重要でないということを意味するものではない。むしろそれは、利潤が事業および事業活動の目的ではなく、それらの規定要因にすぎないという事実を正しく認めたことを意味する。…(略)
 …いかなる事業においても、問題の核心は最大利潤にあるのではなく、むしろ、経済活動に伴う危険性を負担し、その損失を回避するに足るだけの利潤をあげうるにはどうしたらよいかという点にある…。
 このような混乱がなぜ生じたかといえば、それは、人間の行動が、いわゆる「営利心」によって支配されているのだという誤った考えがあったからである。しかし営利心なるものが実在するかどうか、このこと自体が大いに疑わしいのである…(略)…その存在については、これまでのところ、なんらはっきりした科学的論証がなされてはいない。…(略) 
 …こうした最大利潤という概念は、事業の理解にいささかも役だたないばかりでなく、これまで計り知れない害毒を流してきた。利益の性質に対する社会の無理解、ないし利益に対する根深い敵意 ―― 産業社会の最も危険な病弊の一つ ―― といったものは、実にこの概念によって生み出されたものである。<引用終わり>

 これまでにも少しブログで触れたことがあったと思いますが、窓口相談をしていて、介護や福祉に携わっておられる方に、この“利潤追求に対するアレルギーの強さ”を感じます。しかし利潤は、ドラッカーが述べているように、事業にとっては必要なものであり、決して“敵視”すべきものではないということです。
 コムスンの“事件”を通じて、「儲けることは悪だ」というような思い込みが広がることを恐れます。ただ、だからと言って、今回のコムスンの行為が許されて良いと言っているのではありません。「儲けることは悪ではないが、その儲け方が問題だ」と言いたいのです。
 2月に、「正企業・誤企業」ということを書きましたが、コムスンは「誤った企て」をしてしまったのだと思います。


posted by のほほん at 23:55| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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