また、昨年の終わりころには「寿司屋でマグロが食べられなくなるかもしれない」と騒がれたことも、記憶に新しいところです。そしてその理由として、中国で高級魚の需要が拡大したためと説明されたりしております。
5月下旬に発表された『18年度水産白書(水産の動向)』でも、「世界的な水産物需要の増大と日本の“買い負け”〜水産物奪いあいの時代へ〜」などといった記述が盛り込まれております。
これまでよく「食料の自給率」ということが話題にされ、「カロリーベースで40%」などと報道されておりますが、あれは“総合”自給率のことです。
品目別で“魚介類”の自給率をみると、先の水産白書では「17年の国内生産量はわずかに減少しましたが、それ以上に輸入量が減少したことから、食用魚介類の自給率は、16年に比べて2ポイント上昇し57%になりました」と述べられております。
これに関して、『予測エイジ』の2007年5月号(31ページ)では、「“買い負け”でも、自給率は上がる」ので、「その良否を見極めることが必要」と指摘しております。そしてこの記事は『Foresight』(3月号:新潮社)からの転載のようですが、「“買い負け”の要因として責められがちな中国は、実は、自給率100%を維持している。しかも90年代以降、養殖業を急激に拡大…世界の養殖生産量の約6割を養殖し、自給自足を維持しているのだ」…とありました。
これには驚きました。そこで、「中国の魚介類の自給率」をネットで探してみたのですが、残念ながら見つけられませんでした。
しかし、水産白書(概要)http://www.jfa.maff.go.jp/hakusyo/18do/18nenhakusyo.pdf
の19ページには、「中国は近年、水産物輸出国としての地位を高め、16 年には輸出金額・量とも世界最大の輸出国」とありましたし、福岡銀行による次のようなリポートも見つかりました。http://www.fukuokabank.co.jp/fuku/kaigai/asia/asia200704/dalian.pdf
農産物だけでなく、魚介類や水資源も含め、我が国での自給率を真剣に考える必要がありますね。企業にとっても、今後の大きなビジネスチャンスになりそうです。
日本の食糧自給率
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/jikyuuritsu/012.html
第1回世界養殖水産品貿易会議
http://www.newschina.jp/news/category_1/child_1/item_3503.html