2006年10月22日

重た〜い話

 今日は日曜日ですので、経営相談などの話題はありません。そこで、過去に経験した重た〜いお話をひとつご紹介します。
 5年ほど前に、ある設備工事業の会社を診断する機会がありました。社長をされていたのは、身内が経営していて業績が悪化してしまった会社を引き継いで3年目になる人でした。
 その社長は、上場企業の役員を早期退職し、引き継ぐ羽目になったとのこと。決算書は債務超過でした。社長になってすぐさま矢継ぎ早に改革を実行し、単年度黒字を出したそうです。
 2年目に、頑張った社員に報い、また前社長の悲願だったということもあって、自社ビルを建てました。ところが、その直後から業績が低迷し、資金繰りがかなり厳しくなっていました。 

 私が経営診断に行くことになったのは、そんな状況を案じた金融機関からそれとなく依頼されたからでした。社長は、真面目で裏表のないお人柄の方でした。予定時間をオーバーして、夜遅くまでお話を伺いました。
 10日位経ったころ、まとめた報告書を持ってまた訪問し、取り組むべき課題とその優先順位、取り組み方などについて説明しました。社長は当然気づいていたことと思いますが、私は「本社屋を売りなさい」と告げました。先代の社長、そして従業員の長年の悲願を実現できたのも束の間、売却することは、断腸の思いであることは想像に難くありません。
 
 社長は、実行しました。わかっていても踏み切れなかったことが、私の話で“背中を押された”のだろうと思います。本社の売却代金で借入のある程度を返済でき、資金繰りはだいぶ楽になったように見えました。が、業績は相変わらず厳しい状況だったようです。 
 2〜3ヶ月に一度、相談窓口に近況報告がてら来られていました。しかし、昨年の秋以降、音沙汰がない状態が続きました。そして今年1月、忘れもしない31日に、しばらくぶりで顔を見せられました。

 「ご無沙汰していて大変申し訳なかった…実は、正月早々、妻が自殺してしまった…」…これには私も絶句するしかありませんでした。夫人は、社長が先代から会社を引き継いだのを手伝い、会計を担当しておられました。私が経営診断のためにお邪魔した際にもお会いしており、苦しい資金繰り状況のなかでも笑みを絶やさずに頑張っておられたのが印象的でした。
 社長は、「経営状況は低迷しながらも何とかやってこられていた。1月10日には、全社員が揃ったなかで新年の方針を発表する予定であった。その矢先にこのようなことになって…何ともやりきれなく、このひと月間、会社に顔を出していない…」と言うのです。私は、社長が夫人の後を追うのではないかと、とても心配しました。
「会社のほうはなんとかなっているようですから、気持ちが落ち着くまで、もう少し休ませてもらうと良いのでは…」と言うのが精一杯でした。

 3ヶ月くらい経った頃、また社長が来られました。「良かった!生きておられた…」内心ほんとうにホッとしたものです。社長は、「その後、もっと狭いところへ引越した。辞める社員が出ても仕方ないと思ったが、誰一人辞めなかった。逆に、今まで以上に経営のことも考えてくれるようになり、自分の後を引き継いでくれそうな人も見えてきた」というのです。
 社長の表情もだいぶ明るくなっていました。その後半年くらい過ぎましたが、そろそろまた顔を出されるのではないかと、心待ちにしているところです。
posted by のほほん at 23:35| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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