技術者としての腕がよく、仕事は切れ目なくもらえているのだが、日雇いの身分ではいくらにもなりません。
できれば自分で会社設立し、建設業許可もとって、もっと良い条件で仕事を請負いたいと考えたわけです。ところがご主人は、倒産会社の役員をしていたことからあまり表に出るわけにもいかず、奥さんが会社を作り、技術者である夫の実績で建設業許可をとれるだろうと考えたようです。
早速手続きに取り掛かったところ、以前の会社が消滅したため、その会社で取得していた許認可の書類も行方が知れず、その会社でのご主人の経営者としての経験を証明しなければならないという話となりました。お易い御用とばかりにご夫人が法務局へ行ってびっくり、なんと役員登記がされていないというのです。倒産した会社が変更登記を怠っていたので、ご主人がその会社の役員をしていた証明ができないことになりました。そのことを建設業許可を出す役所で説明しても受け入れられず、相談に来られたわけです。
しかし、私にもどうすることもできませんでした。ご主人は日雇い同然とはいえ、個人事業主の立場で仕事を続けてこられましたので、「あと1年半待てば事業経験5年を満たし、許可申請の権利が生じるから」と言って、もう少し我慢していただくことでお引取り頂いたのです。
ところが、今日、そのご夫人が窓口に来られ、「許可がとれることになった」とのこと。どういうことか聞いてみると、ご夫人はどうにも納得いかず、その後再度、法務局に掛け合ったそうです。すると、以前に調べた際には現在のコンピュータ化された謄本をもとに「ご主人は倒産企業での役員登記がされていなかった」と言われたのですが、法務局で改めてコンピュータ化される前の閉鎖謄本を調べてくれて、役員をしていたことが証明できることとなったというのです。これをもって建設業許可を出す役所に行ったところOKとなったとのこと。母も妻も、女性は強いですネ。