この言葉を聞いて痛烈に思い出すことがあります。あれは昨年(2005年)の3月頃のことでした。
窓口に一人の社長が現れ、「何とか融資を受けられないか?」というのです。
聞けば数年前に、経営していた建設会社を倒産させたとのこと。それまで地元では全く借り入れもなく、優良企業だったようです。ところが、折からの公共工事縮減のあおりを受け、仕事欲しさのあまり、いわゆる「談合破り」をしてしまったとのこと。これが発端となり、地元では様々な業界内でのバッシングにあい、経営維持のために借り入れを重ねたが、ついに返済不能に陥り倒産となりました。
その後、個人的に農業など異分野に乗り出し、農作物の有機栽培も軌道に乗りつつあるとのこと。しかし、農作業のない冬場には、わずかに残った従業員の生活を守るため、新たな仕事を手がけたいのだが資金がない。
以前に借りたことのある銀行に何度頼み込んでも、一度付いた黒星から、どうにも融資が受けられないというのです。
3時間近くもお話を聞いているうちに、その社長のお人柄もわかってきました。根から真面目で仕事熱心。基本的に嘘をつくような人ではないと感じました。残債をコツコツと返しながら、自分の生活よりも一緒に残ってくれた従業員に何とか報いたいとの心底からの想いがありありと見て取れました。
「この社長を何とかしてあげたい!」と、思いました。様々な融資制度を探しまくりました。心当たりのある金融機関にも打診しました。
しかし、ダメでした。でも、最後の手段がひとつだけありました。(続く)