11月後半以降の経済・社会情勢は、新聞・テレビ等で報道されているとおり、目を覆うばかりのありさまです。日本を代表するような企業の急激な雇用調整などを見るにつけ、「もう少し何とかできなかったものか」と思うのは、私だけではないと思います。
さて、このような状況では、新たな勤め先を探すのも極めて難しく、いよいよ自分で仕事を始める(創業する)しかないと考える方もおられると思います。自ら事業主となって経営することは、勤務されていたとき(それが正社員であれ、パートや派遣社員であれ)よりも更に多くのスキルが要求されます。ですから、簡単ではないことは明らかですが、それでも何とかして生きていかなければならないのが現実です。
もしもご自分なりに、やりたい、あるいはやれそうなビジネスが見えている方は、しっかりした計画のもとに創業するのも選択肢となるはずです。
そのような方向けの国の支援策(助成金など)をご紹介します。
1.自立就業支援助成金(受給資格者創業支援助成金)
雇用保険の受給資格者(失業者)自らが創業し、創業後1年以内に継続して雇用する労働者を雇い入れ、雇用保険の適用事業の事業主となった場合に、当該事業主に対して創業に要した費用の一部(3分の1、条件により2分の1)が助成されます(上限は200万円、条件により300万円)。
離職の日における雇用保険法の規定による算定基礎期間が5年以上ある受給資格者で、法人設立日の前日において支給残日数が1日以上あること。事前に管轄労働局に「法人等設立事前届」を提出すること等、ほかにも要件がありますので、該当するかどうかよく調べてください。
2.地域再生中小企業創業助成金
雇用失業情勢の改善の動きが弱い21の道県(注)における雇用機会の創出を促進するため、道県から届出のあった雇用創出の重点とする産業分野での創業を助成する制度です。
これは、今年度から創設された「
地方再生中小企業創業助成金」を拡充し、新たに「
地域再生・・・」として12月1日より施行されたものです。
北海道における重点分野としては、「食料品製造業」「飲食料品小売業」「社会保険・社会福祉・介護事業」に加え、「情報サービス業」「宿泊業」「飲食店」を創業する場合も対象となりました。
注)
北海道、
青森県、岩手県、宮城県、
秋田県、山形県、福島県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、愛媛県、
高知県、福岡県、佐賀県、
長崎県、熊本県、大分県、
宮崎県、
鹿児島県、
沖縄県 (アンダーラインは雇用失業情勢の特に厳しい8道県)
詳しくは、近くのハローワークや労働局へ問い合わせてください。
3.高年齢者等共同就業機会創出助成金
45歳以上の高年齢者等3人以上が、その職業経験を活かして共同で法人を設立し、高年齢者等を雇用保険被保険者として雇い入れて継続的な雇用・就業の機会の場を創設・運営する場合に、当該事業の開始に要した一定範囲の費用について助成されます。
こちらの問い合わせ先は、各都道府県の雇用開発協会です。
なお、助成金全般に言えることですが、事前にお金がもらえるわけではありません。創業計画を作って事業を始め、人を雇うなどして半年程度営業した事実のもとに申請した後で支給されます。それも、かかった費用の一部です。
したがって、それまでに要する資金は自己資金と何がしかの借入金で賄う必要があるわけです。設備投資費用や当初の仕入代金、広告宣伝等の営業活動費、そして人件費および自分の生活費半年分程度は確保しておかなければなりません。借入をすれば当然、金利を払うほか返済もしていかなければならないのです。
その見通しが立つのかどうか、しっかりした計画を立てる必要があります。そのためのコンサルタント料も、上記の助成対象となっております。また、商工会議所等の相談窓口でもアドバイスが受けられます。
なお、既存の事業主に対しても、雇用の維持・確保のために新たに次のような助成制度が創設されましたので、併せてご紹介しておきます。
中小企業緊急雇用安定助成金
急激な資源価格の高騰や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練又は出向をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当もしくは賃金等の一部が助成されます。
これは、従来の雇用調整助成金制度を見直し創設されたものですが、この年末になって、支給要件のうち「雇用量要件」は廃止され、ほかの要件も更に変更されております。
高年齢者雇用開発特別奨励金
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク又は有料・無料職業紹介事業者の紹介により週20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用する事が確実な場合に限る)に対して、賃金相当額の一部が助成されます。
介護未経験者確保等助成金
介護事業主の方が、介護関係業務の未経験者を雇用保険一般被保険者(短時間労働者を除く)として雇い入れた場合で、1年以上継続して雇用することが確実であると認められる場合に助成する制度です(平成20年12月1日以降の雇い入れが対象)。